タイムからもバーレーンテストを解剖してみよう。去年、シルバーストンでのレースでタイヤがバーストするアクシデントが発生したことを受けて、ピレリはタイヤの構造を変更し、強度を増した。またシャシーに対しても去年までのようなダウンフォース仕様から削減し、リア部分のフロア面積を少なくする変更もあり、全体的には去年と比べてタイムが遅くなる傾向が目立った。
去年のバーレーンGPの予選とテストでのベストタイムを比較すると、以下の表のようになるが、各チームC4やC5のソフトタイヤを使用しても昨年の予選タイムを上回れなかった。

去年のタイムと比較すればメルセデスが最もギャップが大きいが、去年までのテストのやり方を考えれば、本来の手の内は隠しているはずだ。
最も去年の予選タイムに肉薄したのはアルファロメオとフェラーリだ。アルファロメオは前回の周回数の分析でも触れたように、予選でのタイムが課題だ。レース中にリタイアしない強みがあれば、これはいい兆候と思える。「車の感触では去年の終盤よりも良くなっている」と話すキミ・ライコネンの言葉からもそのポジティブさが現れている。
フェラーリに関しては、去年の予選タイムに肉薄しているとはいえ、C4でカルロス・サインツが1分29秒6で、テスト全体で3位のタイムをマークしたが、トップのマックス・フェルスタッペンから0.7秒遅れている状態だ。2018年、2019年のようなパフォーマンスに戻ったとは言えない状況だ。
全体のパフォーマンスで、際立ったのはホンダ勢と言わなければならない。下の表はテスト中の各セクターのベストタイムを並べたものだ。去年の予選ではルイス・ハミルトンが全セクターを席巻するタイムだったが、今年のタイムを見ると、”HAM”の文字は一つもなく、逆にフェルスタッペンの”VER”と、角田裕毅の”TSU”の文字が多くを占めた。

ストレートラインスピードが重要視される、セクター1、3では角田が最速で、空力のパフォーマンスが試されるセクター2ではフェルスタッペンが最速をマークした。このことから、特にレッドブルはパワーと空力のバランスが高い状態にあるという傾向だ。
しかし、冒頭にも言ったようにメルセデスがまだ手の内を明かさずにいるということを考えれば、開幕戦の予選でこれらのタイムシートがどのように変化するのか、大きな注目と期待が集まるところだ。
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