ついに2021年のF1が幕を開けた。今年はF2から3人昇格したドライバーがいたり、心機一転去年から名前が変わったチームもあり、史上初のファイナンシャルレギュレーションが適用されたりと、楽しみな要素がある。
また今年はテストの期間が3日間と史上最短の日程となり、チームも限られた走行機会の中で新車のフィードバックに励み、来週に迫った開幕へと準備を進めた。
さて今回は3日間に凝縮されたテストをデータから振り返ってみよう。
テストで注目すべきは何より周回数だ。シーズン中はタイムに注目するが、テストでは燃料の搭載量、エンジンモード、空力セッティング、タイヤなど不確定要素が多く、あくまでも参考程度に見るべきだ。周回数はそれとは異なり、順調に走行できていれば自ずと増え、トラブルが発生すれば周回数が減る。今年はテストが3日間に短縮されているため、あえて周回を控える理由もない。従ってテスト中の周回数はマシンの成熟度、チームプログラミングの進捗を示すバロメータと考えてもよい。

今年の3日間のテストでの各チームの周回数は上の表に示した通り。最長距離を記録したのは、アルファロメオとアルファタウリで2283.9kmだった。
アルファロメオは昨年コンストラクターズで8ポイントの獲得で8位に留まった。一方で去年のリタイアは全てアクシデントによるもので、マシントラブルによるものはゼロだった。このことから2021年は昨年マシンから大きく変わっていないことを考えれば順当な結果とも言えるだろう。アルファロメオに課された課題は、競争力アップだがその成長ぶりは開幕戦の予選で注目しよう。
一方のアルファタウリは昨シーズンはリタイア5回、内マシントラブル要因は3回だったが、今年のテストはトラブルフリーだったのは良い傾向と言えるだろう。ホンダPUを使い始めて4年目となるが、その成熟度が今回のテストでの距離となって現れたのかもしれない。
今回のテストの中で最も短い距離でテストを終えたのはメルセデスだった。昨年は4205kmで堂々の最長距離を走行していたが、今年は3日間に短縮されたとはいえ、昨年比で40%の距離になった。
まずは初日で発生したギアボックストラブル、2日目にはルイス・ハミルトンがターン13でスピンを喫し、午前中の走行を棒に振るなど計画外のハプニングで満足にテストを敢行することができなかった。
同様にメルセデスのギアボックスを使用するアストン・マーティンも終始ギアボックストラブルに苦しみ、メルセデスの次に周回数が少なく、さらにはベストタイムでも唯一1分34秒台と予選シミュレーションでさえできなかった。
ハミルトンは3日間のテストを終えた時点で、「改善点はあったが、まだ期待している位置にはいない。全領域で伸び代を残しているような感じだ」と明かしている。
チャンピオンチームのメルセデスではあるので、ここから問題の修正はされてくるだろうが、このテストがシーズン中どのように影響するか注目ポイントの一つになる。
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