2020 F1 第12戦 ポルトガルGP -勝敗を分けたQ3の2回目のアタック

 初のアルガルベでのポルトガルGPとなったが、起伏に富んだレイアウトと、刻々と変わる風、そして数週間前に再舗装された路面の影響で、今までとは異なった予選の展開となった。結果としてはメルセデスのルイス・ハミルトンが97回目となるポールポジションを獲得したが、その直前までのフリー走行ではバルテリ・ボッタスがトップタイムをマークしていたため、接近した予選となった。

 予選結果を決定づけたのはQ3最後の走行プランの違いだった。ハミルトンは2周のアタックラップをミディアムで行い、ボッタスは1周のアタックラップのみをミディアムでタイムを記録した。そして2回のアタックを行ったハミルトンが1回目のアタックのボッタスのタイムを上回り、ポールポジション獲得となった。その経緯とハミルトンがポールポジションを獲得した理由に迫ってみよう。

 まずQ3の1回目のアタックは両者ともにソフトタイヤでアタックした。しかし次のアタックに向けて両ドライバーは次のように考えたようだ。

 ミディアムは前に走ったときにソフトよりも少しだけ速く感じたのが、最後ミディアムで行った理由なんだ。そして1回クールダウンを挟んで2回のアタックにするか、1回のアタックだけにするかを考えていたんだ。1回のアタックで行くと1周分の燃料で済むけど、2回のアタックだとさらに燃料を積まないといけないから、重さ的にハンディがあるよね。Q2の感触から考えると、1回アタックの方が良いように思って、Q3でもそのように行くことにしたんだ。結果的にこれは間違った判断だったね。もしかすると路面温度が若干下がったのかもしれないし、Q2と同じようにタイヤを機能させることができなかったのかもしれない。

 とボッタスは言う。一方のハミルトンは、

 ソフトかミディアムで行くかで選択肢があって僕らはミディアムで行くことにしたんだ。バルテリは1回アタックを選んで、僕は時間もあったし3ラップ(1アタック、スローダウン、1アタック)することにしたんだ。そしたら空間もあって良いコース状態の時に出れたよ。今週末のタイヤはすごく固くて、それらをうまく機能させるのに頑張ってきたんだけど、本当に大変だった。だから僕は1周多くアタックすることにしたんだ。

 両者とも今週のタイヤの硬さから考えて、ウォームアップなどのフィーリングがソフトよりもミディアムの方が扱いやすいと感じたためにQ3の2回目のアタックをミディアムで行くことにしたということだ。

 ボッタスは1回のアタックで行った理由としては、Q2からのミディアムの感触と燃料のアドバンテージを考えてとのことだった。ボッタスが1回目のアタックを終えたのは、Q3のチェッカーまで残り7秒のところだったので、燃料と残り時間から考えて、2回目のアタックを行うには不可能だった。最終的にはこれは間違った決断として、ボッタスは後悔しているようだ。

 これだけボッタスが後悔している背景が予選中のタイムにも現れていた。実は、予選のセクターごとのベストタイムを繋ぎ合わせると以下のようになる。

ボッタス     1:16.406
ハミルトン    1:16.593
フェルスタッペン 1:16.701

 またボッタスはQ2で1:16.466を記録しており、Q3でそれ相当のタイムを記録していれば、今回のポールポジションはボッタスの手に渡っていたことになる。これが彼にとって大きな後悔を生み出している背景となるのだろう。

 このサーキットでは新舗装とはいえ、偶数列は不利な点がある。空撮のサーキット映像を見返してもらえれば分かるのだが、偶数グリッドの右側は古い舗装のままで、埃が多い状態となっている。さらに後ろにはソフトでスタートするマックス・フェルスタッペンが控えているのでボッタスとしては、この2位という予選結果は大きなダメージとなるかもしれない。

 チャンピオンシップの可能性を残している中で、優勝することが絶対条件となっているボッタスにとって、窮地に立たされた状況だが、これを跳ね除けてポルトガルGPの勝利をつかめるのか、天候にも不安があるレースに大きな注目が集まる。

2020 Portuguese Grand Prix, Thursday – Sebastian Kawka

コメント

タイトルとURLをコピーしました