2020 第11戦 アイフェルGP -Saturday Report

 2013年以来のニュルブルクリンクでのF1開催となったアイフェルGPだったが、雨と霧によって金曜日のセッションで走行ができなかったことで、不確定要素の多い週末になっている。

GP GERMANIA F1/2020 – SABATO 10/10/2020 credit: @Scuderia Ferrari Press Office

 予選はQ2から、ミディアムスタートするか、ソフトスタートするかで各チームの動きが変わったが、結局ミディアムスタートを試みたバルテリ・ボッタスとフェラーリ勢が十分なタイムを残せなかったことで、Q3に進出した全員がソフトでのスタートとなった。

 FP3での各車のラップタイムを見てみるとミディアムでロングランをしながら、セッティングを確認していくチームが多かった。そのためタイムの出方にもバラツキがあり、各チームのペースを見定めるにはデータが不十分なところがあった。さらに金曜日からの雨の影響でトラックインプルーブが大きく出たことも難しさを冗長させている。そのため各ドライバーからは、「不確定要素が多い」というコメントが多くあった。

 ピレリは走行したタイヤの傾向から、想定される戦略を発表している。最速の戦略としてはソフトで19周したあとに、ミディアムで22周、その後ソフトで19周する2ストップを挙げている。2番目にはソフトで18周、ミディアムで21周を2回走行する2ストップになっている。さらにミディアムで29周、ハードで31周する1ストップも候補に挙げられている。一方で、ソフトとミディアムによる1ストップはデータ上不可能という予測を出している。

 ピレリの予測通りにタイヤが振る舞うとなると、ソフトでスタートすることが決まっている10台は、1ストップで走り切ることが不可能ということで、今までと異なった展開になることが考えられる。またソフトでのスティントに懸念事項もある。それはグレイニングだ。今回は気温が10℃を下回るようなコンディションで、近年にはないほどの低温の状態になっている。その中でソフトではグレイニングが出やすい状況となっており、タイヤの劣化を早める要因となっている。つまりソフトのマネジメントが今日のレースの行方の鍵を握っていると言っても過言ではないのだ。

 さらにピレリによれば、タイヤの温度が15℃を下回るとコールドクラックと呼ばれる、温度低下によるタイヤの破壊が進行するため、各チームにはタイヤが15℃を下回らないように管理するようにアドバイスが出ている。例えばセーフティカーやVSCが出動すると簡単に温度が下がるため、タイヤの劣化が激しく現れる可能性があるため、ピレリの予測よりも短いスティントでレースを戦わなければならないことも有り得る。

 ルイス・ハミルトンは予選後のインタビューで「このような気温ではセーフティカーが出ると温度を保つのがすごく大変になるから、明日に向けてやるべきことが多くある」と語っており、レースの展開に警戒する姿勢を見せている。金曜日のデータが無い状態で、雨や低温などいつもよりも不確定要素が多いレースとなるが、その中で重要になるのはドライバーからの状況のフィードバックとチームの的確なアドバイスだ。そのコンビネーションが今日のレースで試されることになるので、そのコミュニケーションと各チームの戦略に注目して楽しみたい。

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