F1 第6戦 スペインGP -フェルスタッペンvsボッタス、勝負を分けたのは

 今回は、スペインGPのマックス・フェルスタッペンとバルテリ・ボッタスの戦いを振り返ってみよう。ここでは、各ドライバーが使用したタイヤとギャップグラフ、そしてルイス・ハミルトン、ボッタス、フェルスタッペンの3台のラップタイムグラフを見ながら考えていこう。

タイヤの使用状況
スペインGP ギャップグラフ
スペインGPラップタイムグラフ ハミルトン、ボッタス、フェルスタッペンの比較

 フロントロウからスタートしたボッタスだったが、他よりも反応速度が遅かったためにスタートで出遅れ、たった1周で2つ順位を落としたことがこのレースでの大きなハンデとなった。実はボッタスは今シーズン、1周目で順位を上げたことがない。これは全ドライバーの中でセルジオ・ペレスとボッタスにしかない残念な結果となっており、これがボッタスの今シーズンを苦しめている要因の一つと言えるだろう。逆にフェルスタッペンは今シーズン、1周目で順位を落としたことがなく、6レース中3レースで順位を上げており、その結果をそのまま表すような形となった。

 スタート後は順位を落としたことで、ボッタスはランス・ストロールをオーバーテイクしなければならない展開となり、そのためにボッタスのタイヤは想定よりも傷んだ状況となっていった。しかしハミルトンのマネジメントによるスローペースのおかげで、ボッタスはすぐにフェルスタッペンとの差を詰めることができ、アンダーカットを仕掛けられる目前まで迫ることができた。しかしメルセデスの見解では、アンダーカットを仕掛けるには、更にフェルスタッペンとのギャップを詰める必要があったが、それには多くのタイヤを使わなければならなかった。しかしボッタスのタイヤはすでにスタートでの失敗を取り返すためにストロールに対して激しい攻めをし、オーバーテイクしていたためにその余力はなかったとしている。これがフェルスタッペン2位に獲得に繋がった1つ目の要素だと考えられる。

 実は第2スティントにもボッタスにはフェルスタッペンをアンダーカットをするチャンスがあった。それが39周目から40周目にかけてのことだったが、これは雨が降る可能性もあり、1回分のピットストップタイムをロスする可能性もあったため、スティントを伸ばす決断を下したと戦略担当のジェームズ・バウルズは明かしていた。一方でフェルスタッペンも、ボッタスのアンダーカットを察知して、41周目にピットに入ったが、その後のペースが大きく機能した。ラップタイムグラフを見てみると、その期間、1周目からハミルトンに匹敵するペースをマークし、それを維持していた。コンパウンドが変わっても、しっかりと第1スティントと同じようにメルセデスと同等のペースを残していたことが、フェルスタッペンが2位を獲得する上で大きく機能していたことが分かる。

 そして第3スティントに突入すると両者の戦略は分かれた。フェルスタッペンはボッタスのアンダーカットを警戒して、早めの41周目にピットインしミディアムへと交換した。一方のボッタスは雨が降ることを考えてスティントを伸ばし、48周目にピットインし、こちらはソフトへと交換した。ボッタスは新品のミディアムを余らせていたにも関わらずソフトへと交換したのには理由があった。それは、スタートからそれまでのソフトの持ち具合から考えて、ミディアムよりも速いペースが出ると判断したためだ。しかし実際には日差しも照りつけて温度が高い中での走行となったため、ボッタスは終始タイヤマネジメントに徹しなければならなかった。結果として、第3スティントのペースに関してはミディアムのフェルスタッペンと同等のペースしか刻むことができず、ギャップを詰めることができなかった。一方で、ハミルトンは現在のミディアムのコンディションをよく考慮して「ソフトを俺に履かせるな」とはっきり意思表示をして、自らを正しい戦略へと導いたのがこのレースでのボッタスとの差になったと考えられる。

 このように考えると、今回のスペインGPでのボッタスの3位は、若干の負のスパイラルが招いた結果のように見られる。スタートの失敗が引き金となった余計なタイヤへの負荷、外的要因ではあるが天候の懸念による積極的な戦略へ展開できなかったこと、そしてコンディションの読み違いによって、フェルスタッペンから2位を取り返せなかった。

 言い換えれば、フェルスタッペンは今回の2位に関しては、ボッタスやメルセデス陣営、そして天候によってもたらされたものと考えた方が良いのかもしれない。確かにペースを見れば、メルセデスと同等であったことが窺えるが、これはハミルトンやボッタスが激しいマネジメントを強いられていたためであり、純粋なペース差と考えるには少し状況が複雑だった。フェルスタッペンがメルセデスに挑戦するには、まだ多くの課題が残されていることがこのレースでも浮き彫りになったと考えられる。

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