F1 2020 第3戦 ハンガリーGP Friday Report

 今シーズンの3戦目はハンガロリンクで、各チーム初めてのテクニカルサーキットで、クルマの特徴を理解したかったが、FP2では雨が降り、理想的な一日とはならなかった。しかしFP1は各タイヤコンパウンドと、予選、レースペースの確認と慌ただしいセッションとなった。今後の天気予報を見れば傘マークが並んでいるため、ウェットタイヤのセット数と、連戦続きでパーツの調達が限られるため周回数こそ少なかったが、FP2で各チームはウェットでの性能も確かめていた。今回は各チームのドライとウェットそれぞれのペースとドライバーのコメントを見ながらハンガリーでの勢力を分析してみよう。

 まずドライで行われたFP1でトップタイムを記録したのは、ルイス・ハミルトンだった。ハミルトンはハードでロングランをするために、普段とは逆のパターンで40分専用タイヤをソフト、セッション後半のタイヤをハードにしてテストをしていた。特徴的だったのはそのラップタイムで、ハミルトンがベストタイムを記録したのは、ハードタイヤで出したタイムだった。もちろんFP1のセッション開始直後は、路面がまだ汚れていてタイムが出にくい状態なので、単純な比較はできないが、路面温度25℃の比較的低温な状態でも最速タイムをマークできるほど、うまくタイヤを機能させられていることが窺える。一方のバルテリ・ボッタスもミディアムで自己最速タイムをマークしており、こちらも硬い方のタイヤでの一発のラップには大きな問題はないように見える。

 ロングランペースを見てみよう。今回のロングランで特徴的だったのは、下に示すラップタイムグラフでも見えるようにソフトでのデグラデーションが大きいことだった。

 ソフトでのロングランを試したのは、レッドブル、マクラーレンとランス・ストロールだけだったが、いずれも1周あたり0.5秒近く落ち込む傾向があり、レースで使うにはトリッキーなタイヤであることが浮き彫りになった。その原因はフロントタイヤに発生するグレイニングだ。映像でもはっきりとグレイニングが見えるほどで、カルロス・サインツやランス・ストロールは無線でもその問題を訴えていた。FP1終了直後にサインツからは、グレイニングが少し消えたというチームへの報告もあったが、このロングランのペースを見る限り、グレイニングを我慢してでもレースで使いたいタイヤとは言えなさそうだ。

 ミディアムとハードのペースも確認してみよう。ハードでロングランを行ったのは、ハミルトンとジョージ・ラッセルだけだったが、ハミルトンに関して言えば、ミディアムで走行したボッタスと比べても同じようなペースで走れており、ロングランでもメルセデスのクルマが持つ幅広いポテンシャルが見られる結果となった。ソフトではロングランを行っていないものの、これを見る限りどのタイヤでもしっかりと機能させることができるようになっているということが明らかになった。

 安定して力強いパフォーマンスを見せたメルセデスに今回のロングランペースで拮抗したのはフェラーリだった。特にシャルル・ルクレールは、4周のロングロンとはいえ、高いラップタイムをキープしており、ミディアムにだけ焦点を当てればオーストリアよりも上位を窺えるポテンシャルがあることを見せた。これについてルクレールは「FP1は思っていたよりも良かった」と話しており、セバスチャン・ベッテルも「オーストリアよりはマシな傾向があり、ポジティブだ」と、ハンガロリンクでのクルマについて評価している。

 中団勢では、ルノー勢がミディアムで安定したペースを持っているが、ライバルであるレーシングポイントやマクラーレンが同じロングランを行っていないため比較はできないが、このペースだけを見れば少なくともアルファタウリよりは一歩前を行っている様子だ。

 FP2のウェットでのペースも見てみよう。ウェットコンディションのFP2でトップタイムを記録したのは、シュタイアーマルクGPのウェットでの予選で10位と落ち込んだベッテルだった。フェラーリは、ウェットでのセッティングをベッテルとルクレールと分けて、フィットするセットアップを見定めていたようだ。ルクレールは「ベッテルと違うことを試してみたが、あまりうまくいかなかった。でもベッテルの方はトップタイムを出していたので明日に向けての参考にしたい」としており、フェラーリにとってはウェットでのセッティングの傾向が見える結果となったようだ。しかしベッテルが自己ベストのタイムを記録するまでにアタックを初めてから4周もかかっていたのに対し、2位のボッタスはたった1周でベストタイムを記録しており、ウェットタイヤのウォームアップには若干の懸念が残る。

 セッション後のインタビューは週末の天気がどうなるか分からないこともあり、各ドライバーはドライとウェットのどちらになってほしいか聞かれていた。ウェットでのフィーリングが良いと語っていたのは、ロマン・グロージャン、ラッセル、ニコラス・ラティフィ、レーシングポイント勢、ルノー勢で、逆にフィーリングが悪かったと話すのは、ダニール・クビアトやアルファロメオ勢だった。

 現地7月18日8時時点の予報では、土日ともに雨予報が続いており、シュタイアーマルクGPに引き続いて各チームのウェットでの対応力が求められることになりそうだ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました