6月19日、FIAによる世界モータースポーツ評議会が開催され、FIAから出されたコロナウイルス対策のガイドラインを受けて、今年のレース進行について具体的な形式がスポーティングレギュレーションで明らかになった。今回は5月に発行されたレギュレーションの変化点を見ていこう。

まず変更になったのは、スチュワードの対応だ。これまでレーススチュワードはレース中に起きたインシデントに対して裁定を下す、審判の役割を果たし、現場で判断を下してきたが、15.5章では現場でいる必要はないとしている。ただし、レース週末の間は連絡が取れ、対応が取れるようにしておくように注意書きがされている。これによって、リモートでのレース審査が行うことが可能となり、チームやドライバーからの事情聴取もサーキットにいなくてもできるようになる。先のガイドラインでも触れられていたが、もしスチュワードとチーム関係者が面直で会話する場合には、マイクやフェイスガードといった保護具が必要になるため、その負担を減らした格好だ。
これまでレース週末の間は、スタッフの過労を抑止するため、カーフュー制度が用いられていたが、これも変更になった。今まではFP1、FP3の12時間前から9時間のサーキットへの入場が制限されていた。しかし5月に発表されたレギュレーションでは、チームスタッフの入場は80人までと制限され、クルマの整備にもこれまで以上に時間を要することから、FP1、FP3の11時間前から8時間の制限に短縮された。
タイヤのレギュレーションについても変更になる。以前ピレリのマリオ・イゾラは、今シーズンのタイトなスケジュールから製造面のリスクを訴えていたが、これを考慮して、これまでチームで13セット自由に選択できていたタイヤの本数を固定することとなった。今シーズンのすべてのレースに対して、ハード2セット、ミディアム、3セット、ソフト8セットが供給されることになる。しかし、各セッションの返却ルールや、Q3とレースの義務セットについては変更されないため、各チームはレースの戦略に合わせて、予選とレースでのタイヤ本数を確保することができる。
またFP2のラスト30分と定められていたタイヤテストは、最初の30分に変更され、各チームはこれまで通りセッションの終盤でロングランや予選シミュレーションなど、実践を想定したテストが見られることになる。
そして今回大きく変更となったのがスタート手順だ。これまでは、TV放送での盛り上がりに配慮するために、フォーメーションラップスタートの40分前にピットレーンがオープンとなっていたが、グリッド上に立ち入ることのできる人数や、セレモニーの規模が縮小されるため、フォーメーションラップスタートの30分前にピットレーンがオープンされることになった。これによってスタート時間も変更になるかもしれないが、現在正式なスケジュールが公表されていないため、TVの放送時間含め、注意深く情報をチェックしたいところだ。
またスターティンググリッドに立ち入ることのできる人数も制限されることになった。グリッドに立ち入ることのできるチームスタッフは40人までとなり、競技に関わるスタッフに限定した格好だ。またこれまではレース開始3分前から、スタッフがグリッドから退散していたが、スタッフが密集して移動することを避けるために、スタート5分前から移動するように変更された。
そして今回新たに条項に追加されたのは、スタート3分前にグリッド上にいられる人数は15人までとなり、スターティンググリッド上の密集をなるべく回避するようになる。
そして先日、ロス・ブラウンがグリッド上での表彰式を示唆していたが、無観客で開催されるレースの表彰式は、各レースにレースディレクターから発行されるEvent Notesでその手順が記載されることとなり、各レースごとに表彰式の進行が変わるようだ。これまで、表彰式の進行もレギュレーションで厳格に規定されていたがレースごとにその手順が規定されることで、各グランプリでの演出の変化を楽しむことができそうだ。
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