レーシングポイントのテクニカルディレクター、アンドリュー・グリーンが先日シルバーストーンで行ったフィリミングデーを利用したテストについて、今までとの違いを語ったことをAutosportが報じている。ここで問題視されていたのは、クルー達の作業時間だ。グリーンの言葉を見てみよう。

今までと全くやり方が異なっていて、この先のレースの間はとても大きなチャレンジとなりそうだ。基本的にメカニックとエンジニア間の距離を保って仕事をしなければならないし、一部の人はマスクやフェイスガードもしなければならないんだ。
このような変化によって、クルマへの作業時間もより長くなるだろうから、我々はそれをうまくコントロールしないといけないんだ。特にレースの週末はカーフューが定められていて、作業できる時間が限られているからそれにうまく対応しないといけないんだ。
そこで我々はこの変化したオペレーションで通常の作業や各パーツの交換にどれほど要するか時間を測っているんだ。そしてレースの週末の間のスケジュールも組み直しているよ。これが我々がテストしたときに学んだことだね。
作業時間が長くなったので、急ぐ必要があるシーンがないことを願っているよ。エンジン交換にしてもこれまでの2倍の時間はかかるからね。一度に作業できる人数も限られているから、PU交換にかけられる時間も自然と制限されるんだ。PU交換が必要になったときは本当に時間との戦いになるね。
https://www.autosport.com/f1/news/150044/how-f1-teams-will-adapt-to-covid19-garage-protocols
グリーンは特にPUの交換について話をしていたが、その時間が従来の2倍かかるのは驚きだ。作業する人数が限られている上に、人との接触機会も減らすとなると、当然のことだが、レースにおいてこの時間の長さは致命的となるだろう。
特に問題となるのは、FP3と予選の間だ。この両セッションの間は2時間しかなく、またFP3からは予選とレースで使用されるPUやギアボックスを使用するため、一度ダメージを受けると交換が必要になり、これまでの作業でも時間との戦いはシビアだった。しかし今回、従来の作業よりも2倍の時間がかかるということは、FP3で何かしらの問題が発生すると、予選に出走できない可能性が高まることを意味する。これはどのチームにとってもリスクであり、ドライバーにとってもクラッシュさせてマシンにダメージを負わせてはいけないプレッシャーがより高まるのだ。
そのようなリスクをなるべく減らすために、メカニック達の作業時間を見直して、さらなる効率化を目指しているところだが、5月下旬にファクトリーの閉鎖が解除されてから、約1ヶ月でそれを体得するのは至難の技であり、チームの力の見せ所でもある。そのため、各チームは実車を使ったテストを実施しているが、どこまで各々の作業について改善が図られているか注目していきたい。メカニックの作業もレースの結果に左右する今日のレースにおいて、マシンがサーキットを走らない時でも、今まで以上にピットでは緊張感高まる戦いが行われることになる。
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