前回に引き続き、今回も先日27日に発表されたレギュレーションの変更内容を見てみよう。今回はテクニカルレギュレーションの内容を確認する。
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今回のレギュレーションで大きく変更となったのは、開発アイテムのアップデートの制限だ。22章では2020年から2021年にかけての各パーツに対してトークンを設けて、変更が許される部品とその回数が提示されている。規制の対象となるアイテムは以下の通り。
サバイバルセル、安全装置、空力部品(プランクアセンブリ、DRS)、トランスミッション、サスペンション、ブレーキ、燃料システム、ハイドロリックシステム、エンジンシステム、オイルクーラント、電子部品(無線)、ピットストップ装置
レギュレーションの中には、この規則によって期待されることも記述されていたが、その中には「コスト削減」という言葉があった。最後のレースからおよそ半年が経過し、収入が滞っている状況で、少しでもチームの負担を軽くするために採られた措置ということがここから伺うことができる。
さて上記に記述したアイテムだけでなく、PUに対してもアップデートの制限がかかるようになった。PUに関しては2020年から2023年までのアップデートに対して規制が設けられ、22章で書かれたトークンアイテムよりも長期にわたって適用される。
PUは大きく6つのコンポーネント(ICE、TC、MGU-H、MGU-K、ES、CE)に分けられているが、これをさらに細かく41アイテムに分割したものがAPPENDIX 2に規定されている。これもコスト削減の一環として盛り込まれたレギュレーションだが、この制限によって、各PUサプライヤは効率的な開発と、チームの計画的なアップデートの投入がより厳密に求められるようになり、これまで以上にアップデートのタイミングがチャンピオンシップに影響をもたらしそうだ。しかも4年間にわたってこの規則が適用されるため、一度外すとその後の成績に対して長く影響を及ぼすことも考えられ、PUの性能と信頼性における正確性が求められる。
以上がテクニカルレギュレーション上の変更点だが、コスト削減によって開発も具体的に制限がかかるようになった。チームはこれまで以上にコスト削減に努めながら、激しい争いで勝利を収めるために開発の計画性と投入するパーツの正確性が求められるため、そのプレッシャーはさらに高まったと言えるだろう。2022年には大きくマシンも変更となるため、この数年の開発は手法も姿を変えながら、かつ高い成績を出すことが求められるため、より緊張感が高まる開発戦争となりそうだ。
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