F1ニュース日記 -サインツのフェラーリ加入の舞台裏

 前回に引き続き、F1.comのインタビューに応えたカルロス・サインツのフェラーリ移籍の舞台裏を見ていこう。

EXCLUSIVE! Carlos Sainz Interview: McLaren, Ferrari And The Future

 今回はサインツがフェラーリ移籍に至った経緯と、来年に向けて始めている準備の内容について見ていこう。

 マクラーレンにとっては、6年ぶりの表彰台をもたらし、コンストラクターでも4位を獲得した大きな原動力となったサインツを失うことは大きな損失と考えられるが、実際チームの反応はどうだったのか、サインツは次のように明かしている。

 がっかりしていたけど理解もしていたよ。でも同時にチームのこれからのことも考えて前を向いていた感じがしたよ。僕の代わりを探すことが優先事項としてあったから、すぐに次のことを決めなければならないんだと言っていたよ。でも僕に対してはお祝いの言葉もかけてもらったし、「結果を残してもらうことが、私たちにとっても嬉しいことなんだよ」と言ってもらえたよ。

 マクラーレンにとって損失となるサインツの離脱だが、それを応援するかのようなコメントはチームを離れるドライバーにとって移籍を前向きに捉えられる助けとなっているだろう。またその懐の深さがチームそのものに対して自信が感じられ、さらに次のステップへと発展させようとする気概も感じられる。

 さてサインツは自身がフェラーリに加入できた理由についても次のように分析していた。

 フェラーリはよく働くドライバーを探していたんだと思うんだ。マラネロでたくさんの時間を過ごす必要があると思うんだけど、僕もこれまでマクラーレンのファクトリーで多くの時間を費やしてきたんだ。僕がマクラーレンで作り上げてきたものと同じように、フェラーリでも特別なものを作っていきたいんだ。僕のDNAには周りの友人やファクトリーの人間と良い関係を築くことが刻み込まれているし、僕自身をそれを楽しみにしているんだ。個人的にはミーティングをしてたくさんF1の話をすることが好きだから、今のこの状況は本当に寂しいんだ。セットアップや空力の方針などを話すことでドライバーとしても成長することもできるし、それがフェラーリを強くする動力にもなると思っているよ。

 この話題に関しては「答えたくない」と言っていたが、自分自身がこれまでやってきたことを振り返って、結果が出てきたことは続けようとする姿勢が見えた。そしてそれがフェラーリでも通用するはずだと、強い自信も見せていたのが印象的だ。

 そんなサインツは、自身が強みだと言っていた良い人間関係を作ることを通して、すでにフェラーリに入る準備を始めているという。

 シャルル(・ルクレール)とはすでにドライバーズパレードでも一緒にいることの多いドライバーで、前から彼とはよく話をしているようにしているんだ。それに彼は僕よりも前のグリッドでスタートすることが多いから、今日の主な対戦相手を彼に話すことだってあるんだよ。ランド(・ノリス)やダニエル(・リカルド)と話すと、より勝ちたいという気持ちが強くなってしまうから、あまりレースで戦うことがないと思うシャルルとレースの戦略や昨日の予選のこととかを話しているんだ。そういう会話を通してシャルルとは良い関係が築けていると思うよ。

 偶然かもしれないが、ドライバーズパレードでよく会話を交わしていたルクレールと来年からチームメイトとなるが、これまでも多くの会話をしていたことから、コミュニケーション上の問題はすでに解決しているかもしれない。またサインツはスペイン人であるため、同じくラテン系の血が通うイタリア人に対してもすぐに溶け込める可能性はありそうだ。

 そしてサインツは現在のコロナウイルスの影響によって来年のクルマの開発は止まり、開幕前テストの実施についても疑問符が付いている状況だが、フェラーリデビュー時に考えられる難しい課題について次のように考えを述べていた。

 クルマは来年も同じになるけど、テストがないかもしれないからクルマに適応する時間が無いかもしれないんだよね。だからこれからどれだけシミュレータに乗れるだろうかということは考えるけど、今は2020シーズンに向けて集中しているし、マクラーレンと戦って高い位置でフィニッシュすることがお別れを言うよりも大きな喜びになるからね。だから2020年の最後まで一生懸命に走るよ。そしてその先のテストがあるかどうかとか、そういう心配をし始めるよ。もしかしたらオーストラリアまで全く運転することなく開幕を迎えることになるかもしれないんだからね。とにかく今はマクラーレンのことに集中して、フェラーリのことはポケットにしまって何も考えないようにするよ。

 と、今は開幕を目前に控えた2020シーズンに集中するとしているが、やはりテストが実施されないことのリスクについて不安はあるようだ。来年も同じマシンであることに変わりはないが、サインツにとってはクルマだけでなくPUサプライヤも変わるため、覚えるべきことは多くある。

 今シーズンF1から発表された暫定のカレンダーを見てみると、12月までレースが開催されることが検討されているため、普段よりも短いオフシーズンとなることが考えられる。その短い時間でどれだけ新しい環境に適応できるのか、持ち前のコミュニケーション能力で対応する姿は一つの見どころと言えそうだ。

https://www.formula1.com/en/latest/article.f1-and-coronavirus-faq-everything-you-need-to-know.6TwjCsP5iARqiIEci9lZFi.html

 未曾有のパンデミックで、例年以上に先が見通せない状況となっている中で発表されたサインツのフェラーリ移籍だが、彼自身はそれに対して恐れるような態度を見せていなかったのはインタビューを通して感じられた。それはこれまで彼が築いてきた人間関係とコミュニケーション能力で乗り越えられる自信から来ているのだろうと感じられた。2020シーズンが始まった時、サインツがマクラーレンのために力を尽くす姿と、2021年に向けてフェラーリとの関係を築いていく姿、この2つの姿に今年は大注目のシーズンとなりそうだ。

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