F1ニュース日記 -サインツのマクラーレン加入の舞台裏

 カルロス・サインツがF1.comのインタビューに応えて、マクラーレン加入時の様子とフェラーリに加入することになった経緯を初めて本人の口から語った。今回はそのインタビューをかいつまんで、その舞台裏を見てみよう。

 まずサインツは、フェラーリ加入のきっかけとなる経緯について次のように話していた。

 2021年からのフェラーリ加入は僕にとって興味深いものだったよ。ザック(・ブラウン)(CEO)には直接、フェラーリと会話がしたいということを伝えたら、彼からは「OK、この機会を君にあげよう。フェラーリと話をさせてあげるよ。どういう状況になるか様子を見ながらやろうね」とポジティブな回答をもらえたんだ。僕らはこれまでもオープンな関係でいたけど、フェラーリやマクラーレンとの会話がスムーズに行くように、関係をさらにオープンにしていこうと決心したんだ。

 前からフェラーリへの加入に関しては興味を示していたサインツだったが、その彼の将来の希望に対して、フェアに交渉の場を用意してチャンスを与えたマクラーレンの懐の深さも感じられた。

 そんなマクラーレンへサインツが加入したのは2019年のことだった。2018年まではマクラーレンに2回のワールドチャンピオンであるフェルナンド・アロンソが在籍しており、その存在はサインツにとっても大きい。その代わりとしてシートに座ることになった当時の状況をサインツは次のように語っていた。

 2018年にアロンソとシートを入れ替えた時、自分にとって重大なタスクだったけど、その当時のマクラーレンの状況はすごくトリッキーだったんだ。でも僕はなぜかこのことに対してすごく良い印象を持っていたんだ。覚えてないけど、確か2016年か2017年の夏にザックから電話が来て、彼と会ったときにマクラーレンに乗れると確信したんだ。その時僕はすごく良い印象を受けたから、マクラーレンのために走りたいと思ったんだ。

 明確な理由は語られなかったものの、その第一印象はポジティブで、マクラーレンとの出会いは運命的なものだったことが伺える。サインツ自身もトロロッソからF1にデビューし、そこからルノーへレンタルという形で移籍して、今後の進路について熟慮している時期だったと思うが、ブラウンからの電話は彼にとって一つの光に見えたのかもしれない。

 こうして2019年にマクラーレンに入ったサインツは、ルーキーだったランド・ノリスとコンビを組み、チームとの良い関係を築きながらリーダーとしての仕事もこなしていたが、本人はこれを楽しんでいたと語っている。またノリスとは度々仲睦まじい雰囲気を見せてくれているが、それについてはこのように語っていた。

 (お互いを傷つけるようなことは)全くなかったね。それか「まだない」と言ったほうがいいのかも。でも僕ら二人は同じ方向をむいて仕事をする必要があるとわかっていたから、お互いがぶつかり合うとかそういうことは決してしないね。それはどのドライバーもコース上ではやっていることだけど、僕らはコース外でも力を合わせて物事を推し進めて、話を聞いたり、サポートしたりしていたんだ。僕からランドに対してアドバイスすることもあれば、彼から僕に対してアドバイスしてくれたこともあったよ。それはチームを強くする上では大事なことだと思う。そういう意味で2019年はそのようなポジティブな感触があったから一緒にプッシュできたし、お互いの関係もどんどんよくなっていったんだ。そしてこれまで以上に一緒にいる時間も増えたね。

 チームはもちろん、チームメイトもひっくるめて良い関係を作れたことが、昨年の結果をもたらしたことが、この言葉から分かる。そしてその良い関係を構築して結果を残すことがサインツのスタイルだ。そしてこのスタイルがフェラーリ加入にも繋がることになる。(次回に続く)

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