F1ニュース日記 -トト・ウォルフのリーダーとしてあるべき姿

 トト・ウォルフがメルセデス公式Youtubeチャンネルで、リーダーとしてあるべき姿を語っていた。2014年から6年連続でコンストラクターチャンピオンシップをもたらしたチームの代表として気をつけていることは、社会生活を送る私たちにとっても参考になる言葉があったので、今回はそれを見ていこう。

Leadership Styles, Finding Purpose and No Blame Culture in F1 | Toto Wolff

 まずウォルフは現在のコロナウイルス感染拡大の状況に対して気をつけていることを語った。

 リーダーとして、毎日仲間と繋がっているのは重要なことだから、今のこの状況はそれを続けるのがとても難しい。それと同時に僕らの組織の強さというのも感じるんだ。誰かが横道にそれていると、それに付いている人たちは間違った方向に行きかねないんだ。でもそれをまとめられているのが、メルセデスの良い特徴だと思う。

 今大事なことはチームメンバーとその家族が全員健康であることだ。国によっても対応が異なるから、それにうまく適応しなければならないね。例えば私が住んでいるオーストリアでは、早期にロックダウンを初めたことで、封鎖の3週間後には解除する動きを取り始めているんだ。逆にスウェーデンではロックダウンもせず、ソーシャルディスタンスをしないし、またある国では完全にロックダウンしているところもあるよね。私たちは今正体のわからない敵と戦っているわけだけど、F1もその影響を受けていて、それに対して不安を抱えている人もいる。そのような不安を取り除くために我々は手助けしなければならないと思う。

https://www.youtube.com/watch?v=q8mGymE7bXo

 メルセデスのチームのまとまりは、去年のレースを見ているとよく伝わっていた。例えば昨年のハンガリーGPでは、トップのマックス・フェルスタッペンを抜きあぐれている状況を打開するためにリスキーな2ストップ作戦を採った。この時ルイス・ハミルトンはこの作戦に対してやれるかどうか分からないと不安を訴えるも、チームからは「君ならやれる、大丈夫だ」と無線で励まし、大逆転を果たしたのがそれを象徴している。チームとして戦う時にメルセデスの連携力の強さが現れているが、ウォルフは日頃からコミュニケーションを取りそれを強めていたことで実現したことが伺える。またチームメンバーだけでなく、間接的に影響を受ける人たちへのケアも忘れていないところが、チームリーダーとして評価されるポイントだろう。常に様々なことに対して気を配り、直接会うことができなくても組織が良好な状態を継続させるために考えを巡らせていることが一つポイントと言えそうだ。

 チームメンバーに対して常に気を配る一方で、自分自身の考え方で気をつけていることも明かした。

 何事でもある程度のレベルまで作り上げることは簡単なんだ。だけどその過程では何かしらの問題が起きる。それに対して人は心理的にいつも「誰かのせいだ」と思うんだ。それは自分自身をプレッシャーから解放したいからなんだ。でも問題を把握するために大事なことは、まず最初に自分自身を落ち着かせて感情的にはなってもあまり興奮しないようにすることだ。チームの仲間たちはお互いのことをよく分かっているし、良い時も悪い時もいつも一緒にいる。だからこそまずは自分自身を落ち着かせて、「何が間違いだったのか」を考えること、そしてチームを成長させるためにはあらゆる問題を隠さずさらけ出すこと、そして誰か一人だけのせいにしないことが大事なんだ。

https://www.youtube.com/watch?v=q8mGymE7bXo

 メルセデスが6年連続チャンピオンを獲得している間、何も障害がなかったというとそんなことは全くなかった。ハミルトンとニコ・ロズベルグのチームメイトの関係、マシンの熱に対する脆弱性などトップに居続けていても何かしらの障害を抱えながらその座を守り続けていた。その秘訣はこのウォルフの言葉に集約されているようだ。誰しも問題に直面すると、その辛さから避けてなるところを、しっかりと受け止めて何が悪かったのか、本質的な原因を突き止めてそれを改善に務める姿は誰にとっても模範となるものだ。それをリーダーが自ら実行することでチームメンバーも悪いところをさらけ出して、改善に努めようとする行動に繋がっており、それが更にメルセデスを強くしているのだろう。言葉にすると当たり前のように聞こえるのが、実践しようと思ってもなかなか難しいことだが、それをしっかりとこなせるところにメルセデスの強さがある。

 最後にウォルフは自身のリーダー像についても述べていた。

 責任を持つことに対して苦痛を持たない人ならリーダーになれると思う。例えば高い山の頂点に立つと、素晴らしい気分になれると同時に孤独も感じる。それと同じように長い間物事がうまくいかないときには、まずは自分の責任であることを感じる必要があるんだ。なぜなら各領域の人たちは自分たちに課されたタスクに集中していて、それについて完璧なものを作り上げなければならないからだ。私は大きな組織をまとめたいと考えているんだけど、そのときに「何をしたらみんなの助けになるだろうか、どういうことが平均よりも高いことに繋がるのだろうか」ということをいつも自分に問いかけているんだ。

https://www.youtube.com/watch?v=q8mGymE7bXo

 自分自身に対して奢らず、常にチームが気持ちよく仕事をするために献身的になって寄り添う姿は、様々な領域でリーダーに立つ人の模範だ。ウォルフはそれを自分自身で理解しているからこそ自らそれを行動と結果でそれを示せているのだと感じさせる。レース活動が休止している状態ではあるが、常にチームのために働くウォルフ自身の強さを改めて実感したインタビューだった。

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