新型コロナウイルスの影響を受けて、前半戦の各レースが相次いで中止や延期の対応に追われる中、第12戦として予定されているイギリスGPの開催地、シルバーストンサーキットは4月末までに開催について決定を下すとの意向を示した。
その意向の中には、延期となった時の対応も述べられており、正規レイアウトとリバースレイアウト(反対周り)での開催が可能であるともしている。もしこれが実現すればF1史上初の同一サーキットでの2開催となり、今後のカレンダーの動向に注目が集まる。

F1や各チームにしてみればレース数が多いほど経済効果が期待できるので、ある程度のレース数は確保したいはずだ。しかし国によって現在の感染状況は異なり、事態が収束するのもそれぞれに変わってくるだろう。そのため、同一サーキットであっても違ったレイアウトなどで複数のレースをすることも考えられているようだ。
では複数レイアウトでかつF1レースが開催できるサーキットはどれくらいあるのか考えてみよう。F1が開催されるパーマネントサーキットは複数レイアウトを持つものが多いが、F1がレースできるほどの距離を持たないショートレイアウトであるケースがある。わかりやすいのは鈴鹿サーキットで、ここは東コースと西コースにレイアウトを分けられるが、単純に現在レースが開催されている国際レーシングコースを半分にしただけなので、F1を開催するには不十分だ。
ショートレイアウトで対応するのは難しいので、複数のレイアウトを持ちながらF1レースを開催できるサーキットは何があるだろうか。最もそれに相応しいのは、フランスのポールリカールサーキットだろう。ポールリカールサーキットはF1開催に復帰する前は、テスト専用サーキットとして整備されていたため、様々なケースに対応したレイアウトを多く持つ。その数は167通りあり、これならば同一の周回方向であっても、別なレイアウトでのレースは可能だ。余談だが2020シーズンに予定されていた22戦すべてをポールリカールサーキットが持つレイアウトで開催できるとも言える。
次の候補に挙げられるのはバーレーンインターナショナルサーキットだ。バーレーンもテストでよく使用されるサーキットだが、2010年にはベルギーのスパ・フランコルシャンに次ぐ長いレイアウトで開催されていた。下の動画ではマーク・ウェバーがプレビューとしてシミュレータでコース紹介していたものがあったので参考にしてほしい。
結局このレイアウトでの開催は、ただ長いだけでオーバーテイクもなく、ドライバーやファンから不評だったためたった1年の開催で取り止めとなった。しかし現在のF1史上最も速いマシンを持ってすれば、この特徴的な幅の狭く絶え間なく続くコーナーにおいて、特に予選でスリリングに見られるかもしれない。
3つ目に候補として挙げられるのは、アメリカのサーキット・オブ・ジ・アメリカズだ。このサーキットは従来の左回りでもF1が開催されるレイアウトを含めて3つのバリエーションを持つ。しかし、これらは鈴鹿同様にコースを半分にしただけなので、F1開催には適さない。しかしこのサーキットは元々右回りで設計されていたので、この形でのレース開催が可能だ。特に名物であるターン12は、トルコのイスタンブールサーキットを模擬したコーナーであり、右回りとなったときにその面白さが存分に表現されることだろう。
2020シーズンの開催が続々と中止や延期の発表が相次ぐ中で、今後のシーズンに対しての開催に対しては様々な声が上がっている。その中で普段では決して見られないレイアウトでの開催も考慮に入れると、また新たな楽しみや妄想を掻き立てる。
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