今回紹介するのは、今年3月に創刊された、F1公式マガジンだ。F1公式だけあって、内容はすべて英語で書かれているが、内容がとにかく分厚くて、これまでの雑誌にはないほど濃厚な仕上がりになっている。
英語が読めなくても、全ページカラーで写真も上質なものばかりなので、それを楽しむだけでも買う価値はあるだろう。3月号の内容を少しだけ紹介しよう。いずれの記事もシーズンが普通に行われる前提で書かれているため、実際読むと少し残念な気持ちにもなるが、開幕に向けての注目すべき要素が凝縮されている。
まずはロス・ブラウンの今シーズンの進み方とF1の注目ポイントについて挙げられたインタビューが書かれていた。ブラウンが語る、マックス・フェルスタッペンとシャルル・ルクレールの戦いや、史上最多のチャンピオンと優勝回数をかけて戦うルイス・ハミルトンについてなど、他では語られていないことがインタビューを通して書かれており、2020シーズンのF1を見る前には是非とも一読しておきたい内容になっている。
そのほかは今シーズンの各チームの紹介とともに、それぞれのチームについて注目すべきポイントをすべて特集で書かれていて、これがまた圧倒的なボリュームとなっている。特に感心したのは、一般的な雑誌だと上位チームやその国で推しているチームやドライバーについて多く書かれているが、このF1マガジンではすべてのチームも同じくらいのボリュームで書かれており、どのチームのファンであっても必ず見どころがあるようになっていることだ。特にアルファロメオやハース、レーシングポイントと言ったところは、どうしても紙面から外されてしまうところがあるが、ここでは去年までの戦い方について振り返り、今年に向けた展望を独自のインタビューを交えて書かれているので、推測だけでなく、実際に現場で起きている内容が事細かに記されているので正しい知識を入れるのにも適しているという感じを受けた。
私が特に気に入ったのはロバート・クビサの特集だ。アルファロメオへのリザーブとしての加入を決めたクビサが、これを決めた理由とその先に目指すものを語っており、謎に包まれたものがここで明かされていた。リザーブドライバーとなれば、表舞台からは一歩下がることになるので、注目度もレギュラーよりは落ちる。しかしここではあえてクビサにスポットライトを当てて、クビサ本人が感じていることをありのままに伝えてくれていた。
全編英語なので、すべてを読むのはハードルが高いと思うかもしれないが、写真やドライバー、サーキットの情報も簡単に手に入れることができるので、試しに購入してみるのもいいだろう。間も無く4月号もリリースされ、その中ではオーストラリアGP中止の状況や、シャルル・ルクレールやランド・ノリスといった若手ドライバーの特集が組まれるそうだ。F1開幕が延期となっている今、このような雑誌も手にとって、ここだけしか知り得ない情報を得てみるのもいかがだろうか。
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