F1ニュース日記 −バイオ燃料はF1にどんな変化をもたらすか

 2022年から適用されるテクニカルレギュレーションでは、10%のバイオエタノールを含む燃料が使用されることになっている。このバイオ燃料で注目されている特徴が冷却性能だ。バイオ燃料は燃焼時に従来の燃料の3倍の熱が発生する。これによって、吸気の温度は下がるが、これはエンジンパワーの増大にも繋がるとAutosportは報じている。

Biofuel cooling set to become key development avenue for new F1 cars
Formula 1's switch to biofuels with its new generation of cars looks set to trigger a surprise development battleground thanks to a change it brings in engine c...

 フェラーリの燃料開発に携わるエンジニアによれば、この冷却効果によって従来と変わらないパフォーマンスが出せるとも語っているが、これは実際に導入されてから確かめてみたいところだ。実際、バイオ燃料が使用されることで、圧縮比が高くなる。圧縮比が高くなることで熱効率も高まり、より少ない燃料で効率の良い燃焼をもたらす事ができ、場合によってはパワーアップも狙える可能性も秘めている。それを考えると、新規の燃料導入によって技術的なハードルはまた1段と上がったことにはなるが、このハードルを超えた時にまた新たなF1の姿が見られるだろう。

 インディカーではバイオ燃料をレース界で先駆けて導入している。実際にレースを見てみると面白さを減らすことなく、これまで通りのパフォーマンスを見せてくれている。これを考えると地球環境にもより良い形でレースをするためには決して悪くない行動である事が伺える。

 インディカーの燃料は、バイオエタノールを85%も含み、その原料はサトウキビやトウモロコシということだ。インディカーのレポートを聞くと、サーキットにはサトウキビやトウモロコシの匂いもするということなので、将来F1にも同様の燃料が使用されると、現地観戦での楽しみがまた増えることになり、サーキットで嗅覚を尖らせる人の姿も多く見かけることになりそうだ。

 2030年には、事実上のCO2排出ゼロを掲げたF1だが、まずはそのスタートとして、このバイオ燃料が導入される。クルマのパフォーマンスやレースへの影響、匂いの変化など、注目するポイントは多くありそうだ。もちろんこれだけではCO2排出がゼロにはできないので、更なる施策としてどのようなものが出てくるのかも楽しみに待ちたい。

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