最近、TwitterのTLなどでクルマの写真を見ていると、ノーズの内側を映した写真が載せられることが多い。なぜこの写真が出回ることが多いのか、今回F1.comが注目していたナローノーズの考察の中でその理由が隠されていた。

近年のトレンドになっているナローノーズに対する見解が挙げられていた。まず空力的に見るとノーズ上面のカーブで低圧の領域を生成し、反対側の圧力を高めることでダウンフォースの増加に繋げている。これは元々流体力学としては基本的な論理ではあるので、この効果を強めることが重要である。この思想はフロアにも同じように使われていて、フロアの下面に空気を流すことでダウンフォースを稼ぐ工夫もなされている。

しかし、空気の流量を稼ぐために幅の広いノーズ(ワイドノーズ)を使うと、逆に低速時には空気が目詰まりしたようになるので、“ストール”と呼ばれる現象を起こし、低速でのダウンフォースが損なわれてしまうリスクもある。
そこで近年では低速時でも空気の制御が効きやすいナローノーズを使うことが多くなっているという。そうすると今度は低速でのダウンフォースを稼ぎやすくなるので、その分ラップタイムも上がる。ラップタイムに与える影響としては一瞬で過ぎ去る高速コーナーよりも、滞在時間が長い低速コーナーでのゲインが大きければ、結果的にタイムアップにも繋がるのだ。そのため、各チームはナローノーズを使うケースが増えているという。
しかしこの空力的なメリットを追い求めることによって生じるのが、サスペンション、ステアリング、ハイドロリック、ブレーキといった機能を小さな空間に収めるのが難しくなる。レッドブルはこの対策として、ステアリングやハイドロリックリザーバーをバルクヘッド後方に配置したという。メルセデスもナローノーズを採用しているが、レッドブルほどにタイトにはしていない。これもメルセデスがDASを搭載できた理由の一つであるだろう。
一方フェラーリは2017年以降同じコンセプトをこのパッケージングに取り入れているが、簡素化されたフロントサスペンションがその特徴の一つで、それを今も継続して採用しているということだ。
ナローノーズによって様々な工夫が、ノーズの中に入っていて、各チームの特徴がこの中から見えてくる。特に低速における空力的なメリットを考えると、レギュレーションが大きく変わる2022年以降も多くのアイデアが見れることになりそうだ。その準備期間となる今年、どんなアイデアが我々の前に姿を見せてくれるのか、楽しみが膨らむことになりそうだ。
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