3月13日、本来なら2020年シーズンの開幕戦、オーストラリアGPが開催され今頃フリー走行について見て聞いたことを振り返っていた時間になるはずだった。ところが、前日の木曜日にマクラーレンとハースのチームスタッフに対して新型コロナウイルスの検査がなされたあたりから不穏な雰囲気があった。そして恐れていたことが現実となった。マクラーレンのスタッフ1名から陽性反応が出たというのだ。
この事態にFIA、FOMはチーム代表を集めて深夜まで会議を開き、オーストラリアGPの開催について話し合った。そして夜が明け、フリー走行開始の2時間前に突如中止の正式発表がなされた。突然の発表に現地を訪れて、マシンの走行を待ちわびていたファンのことを思うと残念でならないし、日本から観るつもりだった私達も、メルセデスのDASや王座に挑戦するレッドブル・ホンダの性能、レーシングポイントの覚醒、など、ここには書ききれないほどのたくさんの期待と楽しみを持って待ちわびていた。当然このタイミングでの発表ということもあり、余計に戸惑いを持つ人も思うが、今起きているコロナウイルスの脅威はこれに留まらないと思って覚悟した方が良いかもしれない。
そんな中で、今日はオーストラリアGPが中止となった今、いつF1が開幕するのかという話題も多く挙がっていた。中には6月のアゼルバイジャンGPまで開幕しないのではないかという噂も飛び交っていた。これに対して、F1を取り仕切るチェイス・キャリーは「今回はオーストラリアGPをどう収めるかについて話し合っただけで、その先のことまで検討できていない。今回のケースも2日前まで見当もつかなかったことなんだ」と、F1自身も開幕がいつになるかという答えを持っていないことをメディアに説明していた。

ここまでの状況を整理すると、オーストラリアGPの中止が今日発表され、それ以前には2戦目のバーレーンGPの無観客レースがすでに決まっている。さらに今年早々に中国GPの開催延期も発表されている。現時点ではバーレーンは開催する方向での決定がなされているが、マクラーレンのスタッフに行動制限が出始めていることを考えると、通常通りレースを行うことは難しそうだ。
初開催となるベトナムに関しては、昨日チェイス・キャリーが訪れ、開催の可否について検討したそうだが、最終的な結論は出ていない。モナコGPも今朝声明を発表し、予定通りの開催に向けて準備を示しているが、この状況を慎重に監視するとしてこちらも開催の可否についての検討が始められているようだ。
そうすると噂の通りアゼルバイジャンからの開幕が有力という見方もできるが、事態が刻々と変わる今それを結論付ける事はできない。とにかく今はチームもメディアも次の行先が決まらない中での事態なので、FIAやFOMには引き続き難しい決断が要求されている。しかし何よりもまずは人の健康が第一であることには変わりなく、無理に開催させるものでもないだろう。私も一刻も早く事態が収束し開幕することを待ちわびているが、そのためには各人が感染拡大に気を配り、多少の犠牲も払うつもりで行動することが必要だろう。
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