前回はマイレージと各セッションのベストタイムから各チームの様子を振り返った。今回はもう少しタイムにフォーカスしていく。
まずは各チームの昨年の予選タイムと今年のテストでのベストタイムを比較してみよう。それを表したのが下の表になる。

テストながら今年は10チーム中7チームが昨年の予選タイムを上回り、中には1秒以上の伸びを見せたチームもあった。一方でメルセデスやフェラーリはクルマの成熟が高いためか、手の内を明かしていないためか昨年の予選タイムを上回ることはなかった。
ハースも去年のタイムからの向上は見られなかったチームの一つだが、彼らはC5でベストタイムを出したことがなく、C4でのベストタイムに留まったことは覚えておく必要があるだろう。とはいえハースは10チームの中で最もマイレージが少なく、このタイムから見ても開幕に向けての準備は不十分ではないかという疑惑を持ってしまう。果たして開幕した時にこの状況からどこまで這い上がってこれるかは注目したいところだ。
逆に大きくタイムを伸ばしたのはウィリアムズが大きく、その伸び幅は2.2秒となった。ジョージ・ラッセルはテストを終えた時のコメントに「現実的に見れば僕らはまだ最下位だ」ということを残していたが、これを見る限りは今年はいくらかポイントを獲得できるチャンスがありそうだ。
そしてこの表の中で特徴的なのは先頭のメルセデスから最後尾までのギャップも縮まっていることだ。2019年の予選はトップのメルセデスから最下位のウィリアムズまで3.6秒もあったのが、今年のテストではメルセデスとハースとの差で1.3秒となり、去年と比較して密度が約2倍にまで高くなっている。特に1分16秒台であるのが8チームいるのは、去年以上に接近戦を予感させ、今シーズンが楽しみになる要素の一つだろう。この要因としてはもちろんメルセデスが手の内を明かしていないことが考えられるが、中団チームに関して言えばこのひしめき合いはシーズン中も見られるだろう。
次に各セッションのセクターごとのベストタイムを見てみよう。
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