6日間のテストにおいて、フェラーリは去年のような直線重視のようなパフォーマンスを見せなかった。この理由についてマッティア・ビノットは語ったこの記事を今日は紹介しよう。

テストの中の分析の中でスピードトラップに関するデータを紹介したが、いずれもフェラーリは上位に立つほどの速さがなかったことを紹介した。これについて、フェラーリ側はエンジンパフォーマンスとクルマのドラッグの増加のためだと説明している。ドラッグとは言わば空気抵抗で、これが大きいほどストレートスピードの伸びを妨げる要素となり、特にレース中の防御において弱点となり得る。
このドラッグとPUのパワーのバランスについてビノットは
我々には去年ほどの速さを持ったエンジンパフォーマンスはない。またドラッグが速度に大きな影響をもたらすんだ。良いストレートスピードを求める時に、ドラッグとエンジンパフォーマンスは考えなければならない要素だが、コース上ではドラッグかエンジンパワーのせいなのか見分けることは難しいんだ。しかし我々は明らかにライバルよりもストレートでは遅いのは事実だ。
https://www.autosport.com/f1/news/148501/ferrari-2020-engine-not-as-strong-against-rivals
と説明する。もちろんドラッグが大きいままではいけないので、2基目PUの投入が不可欠であることも明かしている。しかし、ドラッグが大きいということは逆に言うとダウンフォースが増えていることも推測できる。
実際6日目のセクター2ではシャルル・ルクレールがこの日の最速をマークした。バルセロナのセクター2は中速のターン4やターン7、8といったコンプレックスもあり、ある程度のダウンフォースが欠かせないセクションだ。この傾向がシーズン中も持続して現れると、ダウンフォースを必要とする高速コーナーが増えている現代のF1にあっては頼もしい武器となるだろう。
一方で低速コーナーもダウンフォースは必要とされる。しかし低速コーナーが豊富なバルセロナのセクター3では依然としてメルセデスに対しておよそ0.4秒の差がある。低速コーナーに関してはサスペンションをよく機能させてメカニカルグリップを得る必要があるが、それがメルセデスよりも未だに不足していることが伺える。
スピードトラップの遅さに心配する声が聞こえるが、F1に必要なのはトータルバランスだ。パワーも必要だが、ダウンフォースが無さすぎてもチャンピオンは取れない。逆にダウンフォースが多くてもドラッグが増えてしまい、ストレートが犠牲になっては勝つことはできない。この塩梅が非常に難しいF1の世界でフェラーリは最適解を見つけることができるのか。この課題に2020シーズンのスタートからフェラーリは直面しているようだ。
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