今年からシーズン前テストの日程が6日間に短縮され、あっという間に最終日を迎えた。各チームとも万全の状態でメルボルンへ向かいたいところだが、果たして思い通りに締めくくられたのか振り返ってみよう。
この日のタイムシートでトップタイムを記録したのは、バルテリ・ボッタスだった。

この日のボッタスは先週の3日目に続いてC5での予選シミュレーションを積極的に行い、パフォーマンスの確認を行なった。2位となったマックス・フェルスタッペンはC4でシミュレーションを行なっており、その差は0.083差と僅差だった。しかし、実際両者のオンボードを比較されているのを見ると、ボッタスはセクター1でかなり力を抜いて走行していたように見える。両者のセクター1のタイムはボッタスが21.999、フェルスタッペンが21.701とおよそコンマ3秒のギャップがあった。
セクター2は互角でボッタスは28.240、フェルスタッペンが28.221だった。しかしセクター3になると様相は一転し、ボッタスが25.942なのに対してフェルスタッペンは26.227となった。その違いはオンボード映像からもはっきりと映っており、セクター3に入るとフェルスタッペンがオーバーステアに苦しむ様子があるのに対して、ボッタスは最終シケインや最終コーナーで縁石に乗っても姿勢が乱れることなく、スムーズにパワーを掛けられているのが分かる。
元々メルセデスはバルセロナのセクター3を得意としているが、このように25秒台で走るだけで、セクター1、2で他者を突き放すほどのギャップが無くても、トップに立てる力を十分に持っていることがこの結果から明らかになった。またセクター1のペースの遅さを見るとまだ余力を残しているように見られるので、シーズンが始まったときにどこまでのパフォーマンスを見せてくれるのか注目ポイントとなるだろう。
マイレージに目を向けてみると、この日はシャルル・ルクレールが一人で181周を走り、この6日間のテストにおいて1日で走行した最多の周回数を記録した。パフォーマンスランを見ていても、ステアリングに修正が少なく、余力を残しているような雰囲気もあった。しかし彼らは限界まで走行しているような様子も無く、その上エンジンモードも絞っていることが過去のスピードトラップから見られていた。果たしてこ最大のパフォーマンスで走ったときにその実力がどこまであるのかメルボルンの予選にフェラーリへの目線が大きく集まることになりそうだ。
中団勢も見てみよう。この日好調なタイムを見せたのはダニエル・リカルドだった。まだテストではあるものの、バルセロナでの自己最速タイムを記録したリカルドは走行後のインタビューで笑みを浮かべながら、「苦しかったテストの間何周も走ってようやく良いタイムが残せたよ」とホッとした気持ちを語っていた。トラブル続きで思うような走行は行えなかったが、最終日で納得のいくラップが残せたことで少しはその不安は解消されたのかもしれない。果たして中団勢トップとなることができるのか、激しい中団勢の戦いに今年も引き続き注目することになりそうだ。
一方で初日から去年と比較して躍進した姿を見せていたウィリアムズは、ジョージ・ラッセルが9番目のタイムを残した。このタイムは去年の予選のタイムと比較しても2秒以上も更新しており、その成長ぶりは明らかだ。しかし、ラッセルは走行後のインタビューでは、そのような成長ぶりに浮かれることなく、しっかりと自分たちの状況を踏まえて「現実的に言えば僕らはまだ最後尾だよ。でも前とのギャップは縮められたと思うよ」と語った。これだけ成長してもまだ最後尾と考えると、ウィリアムズ復活への道は本当に遠い道のりなんだと感じさせられるが、この成長を続けていれば複数回の入賞も現実的になってくるだろう。ウィリアムズの成長ぶりについてはシーズン中も楽しみな要素になりそうだ。
各チームが6日間という短い中でも走行を重ね、それぞれに確認すべきことを進めてきた。何度も言うがこれはテストなので、これがシーズンの結果となるわけではない。しかし、シーズン中に垣間見えた強さやトラブルがそのままシーズンにも現れるのか、様々なケースを妄想をしながら開幕を待ちたい。
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