5日目となったテストは昨晩降った雨の影響で初めてのウェットコンディションからスタートした。各チームはインターミディエイトでスタートするも、開始時の路面温度は10℃と低かったため、グリップを得るのに一苦労する様子を見せていた。それはトップチームも例外ではなく、マックス・フェルスタッペンやセバスチャン・ベッテルはターン5でスピンを喫し、バルテリ・ボッタスもあわや1回転というシーンがあった。
しかし午前中のセッションの後半になると路面は乾き、残り1時間を切ったところで各チームとも軽い燃料でパフォーマンスを確認していた。この中で全体のトップタイムをマークしたのは、今年のテストではフェラーリとして初めてとなるセバスチャン・ベッテルだった。

タイムだけを見ると同じC5で2位となったガスリーに対して、0.2秒付け上々のように見えるが、先週も含めたベストタイムでみると、バルテリ・ボッタスの1:15.732に対してはおよそ1.1秒も遅れている。
これにはいくつか理由が考えられる。まず夜通し降った雨の影響で、これまで付いていたラバーが流れ路面のグリップが低下したことが考えられる。また4日目に引き続き風が強いコンディションだったこともあり、ドライブするには難しい状況だったように見られる。実際、アレクサンダー・アルボンは走行後のインタビューの中で「風がトリッキーでクルマのバランスをうまく読み取れなかった」というコメントを残している。このため、先週出したタイムと直接比較はできず、この結果からはクルマの実力は読み取れないことになる。
この日のマイレージを見るとウィリアムズのニコラス・ラティフィが一人で160周を走破し、先週のトラブル続きで出遅れた分を取り戻すために多く走行できたことはポジティブなポイントだろう。ラティフィ自身も「レースシミュレーションができてほっとしているよ。先週よりも走行できたし、今日のところは満足だね」という前向きなコメントを残しており、実戦向きの準備を行なったことでより気持ちが高ぶっている様子が伺える。
しかし実際ベッテルのこの時のオンボード映像を見てみると、ステアリングの修正は少なく、セクター3に入ってもリアが暴れているような様子も見られていないことから、悪い状態ではなさそうだ。
一方でこの日最もマイレージを稼げなかったのはここまでのテストで最長の距離を走行しているメルセデスだ。午前中のボッタスはダンプのコンディションとあってか走行は控えめだった。問題は午後のルイス・ハミルトンの走行のときだ。レースシミュレーションに入る直前にターン6でマシンを止めたのだ。チームはその後、PUの油圧の異常で予防的にエンジンがシャットダウンしたことを明かしたが、先週からウィリアムズにPUトラブルが相次いでおり、今回はワークスであるメルセデスにもトラブルが発生した。チームからは深刻な状況を表したコメントなどは見られていないが、メルセデスPUがトラブルによってクルマが止まったケースはこの5日間で3回目となり、決して良好な状態とは言えないだろう。開幕まで2週間となる中でこの信頼性をどこまで確保できるのかも、メルセデスにとっては課題の一つとなったようだ。
明日はいよいよ開幕前最後の走行機会となる。5日目は路面のコンディションもベストとはいえず、予選やレースのシミュレーションを実施したチームも少なかった。しかし次で最後となるので、各チームは積極的にコースに出て最終確認を行うはずだ。果たしてどのような結果が見られるのか楽しみにしながら、最後まで注目していきたい。
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