TRS 2020 Rd. 5 Manfeild Race 3 -日系ブラジル人ドライバー、フラガが逆転でチャンピオン獲得!

 いよいよ2020年のTRSもこれで最後のレースを迎えた。チャンピオンを争うリアム・ローソンとイゴル・フラガの戦いもマンフィールドに来てさらにポイント差は縮まり、緊張感は最高潮になっていた。

 スターティンググリッドはフラガがポールポジションを獲得し、2連覇を狙うローソンは3位からのスタートと、ここに来て流れはフラガに来ているようだ。2位にはカイオ・コレットが入り、角田裕毅はスタート練習でのペナルティがあり15位からスタートする。

 スタートでの順位変動はなくクリーンに各車が抜けていった。しかし早くフラガを捉えなければならないローソンはどこのコーナーでもコレットを狙う姿勢でリスクを負ったバトルを展開する。

 2周目にはヘニング・エンクヴィストがクラッシュするが、その直後にローソンがコレットを交わして2位にたった。しかし直後にイエローフラッグが振られ、SCが導入されていることもあり、ローソンの抜いたタイミングが問題ないかどうか気になる微妙なタイミングだった。しかし抜いた瞬間には黄旗が掲示されていなかったため問題はなさそうだ。

 残り30周からレースは再開した。フラガとローソンはここから直接対決となったが、フラガが冷静にリスタートを決めここでのドラマはなかった。それから両者のギャップは1秒前後を維持した状態で、ローソンも終盤まで様子を見る姿勢に集中しているようだった。

 残り23周のところでエミリエン・デナーがグラベルにハマり、SCが導入された。

 残り19周からレースは2回目のリスタートをした。今回もフラガが良い蹴り出しを見せ、ローソンにチャンスを与えなかった。しかし、さらに1台コースオフしたために3回目のSCが導入された。

 3回目のリスタートは残り15周のところであった。三度目はローソンも接触覚悟の深いブレーキングでロックアップしながらフラガに並ぶもオーバーテイクには至らなかった。

 両者のギャップは1周あたり0.1秒ずつ広がりながら周回を重ねるが、ローソンにはフラガを追い詰めるほどのペースはなさそうだ。逆にコラピントに差を詰められ、残り7周のところで2位を譲ることになってしまった。

 明らかにローソンのペースが周りよりも遅く、これまでのペースから考えれば急激な減速になっているので、何かしらのトラブルがローソンに起きてしまったと推測されるが、いずれにせよローソンにとっては残念な結末となってしまった。

 一方、ライバルが背後から消えたフラガは3度のSCにも動じず、完璧にレースをコントロールしていた。そして、フラガはこのレースに優勝し、初挑戦となるTRSで初めてのチャンピオンを獲得した。3位にはローソン、角田は順位を挽回して6位になった。

 タイトルを獲得した直後のフラガは次のように喜びを表した。「今は何て表現したらよいかわからないよ。信じられないね。ここまで支えてくれた人みんなに感謝したいし、子どもの頃からここまで育ててくれた両親に対してももちろん感謝したいよ。ここまで来るのも長かったけどまだまだプッシュするよ」と涙ながらに感謝を述べていた。

 一方、あと一歩のところで2連覇を逃したローソンは「全部出し尽くしたんだけど、今朝の予選でポールを取れなかったのは僕のミスだったね。FIA F3も楽しみだけど、このシリーズが取れなかったのは悔しいよ」と地元のニュージーランドでのチャンピオンを逃したことについて、悔しさを表していた。その後の表彰式でもシャンパンを振ることなく立ち去ったところを見ると、その悔しさは相当なものだったのだろう。

 最終的にはアンチクライマックスのような形でチャンピオンが決定したがこれもレースの一部なので仕方のないことだろう。とはいえ、この5週間にフラガとローソンが見せてくれたハイレベルな戦いによってこれから始まるFIA F3に対しても大きな期待が込められる。最後の最後まで戦ったことでの経験はこれからの彼らのキャリアにも大きな効果をもたらすはずだ。その効果の成果が見られるのはFIA F3となるので、来月のバーレーンからのレースを心待ちにしたい。

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