先日、FIAは昨年のベルギーで起きた一連の事故について、調査の報告があった。

この事故の調査報告では以下の結論がなされている。
1. 4人のドライバーによる複数のクラッシュが連鎖したことによって高速のTボーンクラッシュがファン・マヌエル・コレアとユベールの間に生じた。
2. 車両の速度と軌道によって、非常に高レベルのエネルギーが生じ、ユベールに致命傷、コレアに重傷を負わせた。
3. この事故は一つの要因だけで起きたのではなく、複数のものが積み重なって起きたことが、それぞれのアクシデントについての詳細分析から判明した。
4. この事故について、イエローやコース上の状況において、いかなるドライバーの動作において誤りはなかった。
5. マーシャルおよびレースコントロールについて、シグナルと救護において的確なタイミングで行われていた。
この事故についてここではあまり語らないが、一つ言えるのはジュリアーノ・アレジのクラッシュを避けるために、それぞれのドライバーとマーシャル、レースコントロールが最大限の回避行動を取っていたことがよく分かる。
しかしそれぞれが誤りを犯していないにも関わらずこのような事故を起きてしまったので、事故の再発を防ぐために何かしらの手立てが必要なのは明らかだ。
例えば、イエローが表示されたら自動ブレーキをかけて強制的に速度を落とすようにしたり、一般車でも用いられているような衝突回避システムを利用したりできないものだろうかと考える。
自動化をすることで、レースの本質が失われると考える人もいるだろうが、イエローフラッグが振られている状態、つまりコース上に何らかの異常が起きている時には致し方ないと考えるべきだと思う。
昨シーズンは、イエロー時の行動について様々な議論がなされたが、そもそも黄旗が振られている時はすべてのドライバーに減速することが求められ、追い抜きも禁止されている。そのような状況であれば、外部から強制的に速度を抑制するような格好にしてもレースの競技上は何の影響もないはずだ。
しかし、ドライバーにとっては不自然なブレーキとなるため、その挙動には戸惑うこともあるかもしれないし、そのシステムが完全に安全かどうかを証明するためにはテストを重ねる必要があるだろう。しかし、全員が過ちを犯していないにも関わらず、このような事故が起きてしまった以上、更なる安全対策は必須であると思う。
最近はドライバーの頭部を守るためにHALOも搭載されるようになり、年を重ねるたびにその安全性は高くなっている。しかしドライバーの生命が掛かっている以上、そのリスクは最大限に減らす必要がある。ファンが安心してレースを楽しむためにも、様々な手法を検討し、安全対策活動を続けて欲しいと切に願う。
コメント