Race 3は日曜日の朝に行われた予選2回目の順位でグリッドが決まる。その予選でポールポジションを獲得したのは、ジャクソン・ウォールズだ。2位にはリアム・ローソン、3位にはイゴル・フラガが付け、角田裕毅は5位となった。Race 1で優勝したカイオ・コレットは7位、Race 2のウィナー、エミリエン・デナーは13位となった。
スタートはローソンが完璧な蹴り出しで一気にトップに立った。ウォールズは2位に下がり、すぐ後方にフラガが付ける体制になった。角田も4位に上がり、2位へのチャンスを伺う。3周目にウォールズがオフラインに乗りそのままコースオフし、4位にまで落ちた。この影響でフラガと角田がそれぞれ順位を上げた。
ローソンは3周目の時点で2位との差を1.8秒にし、それ以降タイヤを保つためにペースをコントロールさせている。フラガも無理をせずペースコントロールに努めているように見える。しかし残り13周のところから、フラガがローソンに対してギャップを詰め、0.7秒にまで接近しトップ争いに緊張感が漂う展開になった。逆に角田はこの2人のペースに付いていくことができず、フラガとの差は5秒にまで広がり、更なる上位進出は厳しい状況となった。
タイヤマネジメントをしていたローソンだったが、左フロントにアブレーションが見え始め、ペースをコントロールするにも難しい状態になっていた。それでも一切ミスを侵さずフラガに前に出る隙を一切見せない。そんな苦しい状況でもローソンは残り8周のところでラップレコードを記録し、懸命にトップを守る。フラガもローソンの速いペースに対して一歩も引かず、タイヤもキレイな状態を保ってプレッシャーを掛け続けていた。
残り2周のとなったところで、ターン1でオリバー・ラスムッセンとデナーが接触しSCが導入された。これによりそのままチェッカーフラッグが振られ、ローソンが優勝、2位にフラガ、3位に角田という結果になった。
ローソンは「とてもいい気分だよ。レース前にクラッチに問題があったから、スタートの時には最大限集中していたんだ。タイヤは予選の後にピックアップしたやつで少しグリップを失ったけど問題なかったよ」と冷静にレースを振り返った。
彼が凄いと思うのは、レースに勝ったからと言って手放しで喜ぶのではなく、きちんと自分やチームとしての反省点を見出して、それを改善しようとする姿勢があることだ。まだ17歳ではあるが、自分がやるべきことをしっかり理解し、反省するところは反省し、次に活かそうとする冷静な姿勢が彼の強さの一つだと思う。今回得た反省を来週どこまで改善し、更に強い姿を見せてくれるのか楽しみにさせてくれるレースであった。
一方、3位に終わった角田は「今週はペースを持っていたはずなのに予選1回目はラップをまとめられず、Race 1では追突もされて流れが悪かったんだ。Race 2までは他よりもペースが良かったんだけど、Race 3では前後のクルマと比較して悪くなってしまったからその原因はしっかり掴む必要があるね。チームにとっては1-2-3が取れたから良かったし、次のレースも楽しみにしているよ」と語り、このレースでのペース不足が問題であることを語っていた。
このレースを見ていても明らかに1位と2位とのペースが大きく、1周あたり0.5秒ずつ遅れていくものだった。本人はまだ原因が分からないということなので、様子を見る必要があるが、また木曜日から3戦目の走行が始まるので、そこまでに万全な状態となれるのかが気になるところだ。ただしペース不足に悩まされながらも3位はしっかり守ったことで、ランキングも4位につけている状態で、チャンピオンになる可能性も残されている。ここから残り3戦でどこまで挽回できるのか、角田の粘りに期待したいところだ。
さてこのレースでローソンはポイントでも2位のフラガに対して18ポイント差を付けて2連覇に向けて波に乗ってきた。今年のTRSも早くも折返しとなる3戦目となるが、このままローソンがチャンピオンシップを逃げ切るのか、新たなライバルが出てくるのか、楽しみにしながら次のハンプトン・ダウンズを待ちたい。
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