今回はピレリのマリオ・イゾラがAutosportのイベントに出演し、今年のタイヤのパフォーマンスについて明かした内容を紹介しよう。

イゾラはテクニカルレギュレーションが昨年とさほど変わらないことから、マシンのパフォーマンスとして昨年から1秒から1.5秒速くなると推測している。つまり、マシンのダウンフォース量も増え、タイヤにかかるエネルギーも増えることを意味する。そのため、2019年シーズンの序盤にいくつかのチームで問題となっていた、タイヤのウォームアップに対してそれほど心配することはないだろう、というのがイゾラの見解だ。
2019年シーズンの状況を振り返ってみると、2018年シーズンにスペイン、フランス、シルバーストンで投入されたシンゲージタイヤ(従来のコンパウンドよりも0.4mmトレッドが薄いタイヤ)を使用することで、これまで問題となっていたブリスターの発生を抑えることに成功した。しかし路面温度の高いコンディション化では、多少なりともブリスターの発生が見られ、それを不安視する声もあった。
ところが、アブダビGP後のテストにより2020年も2019年と同じコンパウンドのタイヤが使用されることが全チームの合意により決定された。
当然、チーム側もイゾラと同じような懸念は抱いていたと思うが、よく知っているコンパウンドを使うほうがクルマの扱いやすさから考えるとデメリットよりもメリットの方が大きいのだろう。とはいっても、当然タイヤのワーキングレンジも去年と同様だ。そう考えると従来のタイヤの温度、内圧管理は以前と変わらない。しかしマシンパフォーマンスの向上を考慮すると、タイヤのケアを如何に負担なく行えて、適切な温度を保つことができるのかが、マシン開発の鍵となるだろう。
昨年の場合は、トップ3チームの中でレッドブルがよく対応できていた印象があるが、昨年の反省を踏まえてメルセデスやフェラーリが今年の中でどこまで改善していけるのか、そのあたりも一つの注目ポイントとなりそうだ。もちろん、ピレリ側はブリスターなどによってタイヤが壊れる事象は避けたいので、何らかの症状が表れた段階で、推奨の内圧やキャンバー角を変更して対策は打ってくるだろう。しかし今年のマシンで走るまでは、それもすぐには行えないため、各チームの今のクルマ作りがシーズン序盤戦の戦いを占うと言っても過言ではないはずだ。
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