2019 アブダビGP レース分析 – 1. これぞ6度のチャンピオンドライバー

 2019年最終戦のアブダビGPをデータから振り返ってみよう。アブダビGPはルイス・ハミルトンの圧勝で幕を閉じたが、その速さが如何にすごかったかデータで確認してみよう。

 上のグラフはアブダビGPでのレース中のラップタイムを表したものだ。縦軸はラップタイム、横軸は周回で、グラフが上に行くほど速いことを表している。

 ハミルトンが強さを見せたのはなんと言っても53周目のファステストラップだ。彼はなぜ最終盤にこのようなタイムを出すことができたのか。そのヒントは第一スティントにあるだろう。

 ハミルトンはミディアムからハードに交換する1ストップ作戦を敢行したが、この第一スティントではどのドライバーよりも最速のペースで巡航していたが、グラフの傾きはほぼ一定であることが見える。これは彼がタイヤマネジメントをしていたからで、3周目までに2位のシャルル・ルクレールをDRSウィンドウから離すためのペースアップしか目立つのようなタイムは無かった。

 結果的にDRSのシステムトラブルもあったおかげで、後方からの追撃の心配もさほどなく、淡々とスティントをこなすことができたのが大きな勝因と言えるだろう。

 逆に言うと、スタート直後の段階でハミルトンの1、2秒後方にルクレールがいられなかったために、ハミルトンを楽にさせてしまったということもあるだろう。

 残りのレースは、SCだけを警戒し悠々と自分のペースで走るだけだった。第2スティントでは、マックス・フェルスタッペンがドライバビリティの悪さを訴え、100%の力を出せなかったということもあり、ハミルトンにはもはやこのレースでの敵はいなかった。とにかく何があってもタイヤだけは残して勝利を手放さないように、タイヤマネジメントをしていた。

 そして勝利を確実にした53周目に残していたタイヤをフルに使って、1:39.283のラップレコードをマークした。これはファステストラップの記録としては、2位のバルテリ・ボッタスに対して0.432秒を付ける圧倒的なものだった。如何に他のドライバーがハミルトンに対して楽をさせてしまったかという裏付けの記録とも言えるだろう。

 今年は何度かハミルトンに対して接近し、1対1でも負けない戦いがあっただけに、最終戦でこのような結果となってしまったのは他のチームにとっては屈辱的だろう。来年は最初から最後までトップ争いから目が離せない展開を期待したいところだ。

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